少年時代、「日本人の九割は中流意識を持っている」と何度となく
聞かされてきた。 しかし、私は一度たりとも自分が「中流」に属して
いると感じたことがない。
私は疑いもなく「下層階級」に生まれ育った。 父親はいない。
母子家庭に育ち、実家は岡山の市営住宅だ。 極端に言えば、
かつての私はこの貧しさからいかにして抜け出すか、そして成功
するためにはどうすればいいか、それだけを考えていたといっても
過言ではない。
具体的にはどうするか。 とにかく人に抜きん出た実力をつける
しかない。 そして何があっても生き延びるだけの力をつける
しかない。 そのためには東京に出るくらいではまだ足りない。
世界に飛び出さねばならない。
世界に飛び出すには?
とりあえず、英語くらいはできておかねば話にもならない
だろう。 単なる語学留学ではなく、大学できちんと勉強
しておいたほうがいいだろう。 とすれば、目的地は
(善悪は別として)世界の中心たるアメリカ合衆国になる。
高校一年のある日、私は心ひそかに日本を飛び出すことを
決意した。